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祝部らが斎くみもろのまそ鏡
懸けて偲ひつ逢ふ人ごとに

歌の意味
神官たちが大切に祭る社に懸けてある鏡のように、心にかけて慕っていた。行き会う人ごとに。
鑑賞
巻第十二 寄物陳思 2981

詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
 神官が祭る社に懸けられた鏡を序として、行き会う人ごとに恋人を心にかけて慕っていたと歌う。神聖な鏡の比喩によって、恋人への思いの深さとひたむきさを表している。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「祝部らが」は、神に仕える神官たちが、の意である。
 二句「斎くみもろの」は、大切に祭る神の降りる所の、の意である。
 三句「まそ鏡」は、社に懸けて祭る鏡で、ここまでが「懸けて」を導く序詞となる。
 四句「懸けて偲ひつ」は、心にかけて慕っていた、の意で、ここで四句切れとなる。
 結句「逢ふ人ごとに」は、行き会う人ごとに、の意で、誰に会っても恋人を思い出すことを表している。

はふり:神に仕える神官
みもろ:神の降りる所、神の社
いつく:身を清めて神を祭る
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
まそ鏡見飽かぬ妹に逢はずして 月の経ゆけば生けりともなし
次の歌
針はあれど妹しなければ付けめやと 我れを悩まし絶ゆる紐の緒