紫のまだらのかづら花やかに
今日見し人に後恋ひむかも
- 歌の意味
-
紫のまだら染めの髪飾りのように華やかな姿で今日見かけた人に、後になって恋い焦がれることになるだろうか。
- 鑑賞
-
巻第十二 寄物陳思 2993
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
今日見かけた華やかな人に、後で恋い焦がれることになるだろうかと、一目見ただけの人への恋の予感を歌う。紫のまだら染めの髪飾りという華やかな序が、相手の印象の鮮やかさを伝えている。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「紫の」は、紫色の、の意である。
二句「まだらのかづら」は、まだらに染めた髪飾りで、初句とともに「花やかに」を導く序詞となる。
三句「花やかに」は、華やかに、の意である。
四句「今日見し人に」は、今日見かけた人に、の意である。
結句「後恋ひむかも」は、後で恋い焦がれることになるだろうか、の意で、恋の予感を歌っている。本巻の第三千百四十一首第三千百六十首も同じ結句で結ばれている。
かづら:蔓草や花などで作った髪飾り
- 作者
-
作者未詳
- 出典
-
万葉集
- 前の歌
-
玉たすき懸けねば苦し懸けたれば 継ぎて見まくの欲しき君かも
- 次の歌
-
玉葛懸けぬ時なく恋ふれども 何しか妹に逢ふ時もなき