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石上布留の高橋高々に
妹が待つらむ夜ぞ更けにける

歌の意味
石上の布留の高い橋のように、背伸びをしてあの子が待ちわびているだろう夜が、すっかり更けてしまった。
鑑賞
巻第十二 寄物陳思 2997

詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
 恋人のもとへ通う途中の男が、背伸びして待っているであろう恋人を思いながら、夜が更けたことを気にかける歌である。布留の高い橋から「高々に」を導く序詞が、待つ人の姿を印象づけている。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「石上」は、奈良県天理市石上のあたりをいい、「布留」にかかる枕詞である。
 二句「布留の高橋」は、布留川に架けられた高い橋で、ここまでが「高々に」を導く序詞となる。
 三句「高々に」は、背伸びをして待ちわびるさまをいう。本巻の第三千五首第三千二百二十首にも同じ語が見え、特に巻末の第三千二百二十首は「高々に君待つ夜らはさ夜更けにけり」と、女の側から同じ趣を歌っている。
 四句「妹が待つらむ」は、あの子が待っているだろう、の意である。
 結句「夜ぞ更けにける」の「ぞ」は係助詞で、連体形「ける」で結び、訪れの遅れを気にかける心を表している。

いそのかみ:奈良県天理市石上の地、「布留」にかかる枕詞
たかはし:高く架けた橋
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
しらかつく木綿は花もの言こそば いつのまえだも常忘らえね
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港入りの葦別け小舟障り多み 今来む我れを淀むと思ふな