古典和歌stream

魂合へば相寝るものを小山田の
鹿猪田守るごと母し守らすも

歌の意味
魂が通い合えば共寝をするものなのに、山あいの田で猪や鹿から田を見張るように、母が私を見張っておいでだ。
鑑賞
巻第十二 寄物陳思 3000

詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
 心が通い合えば共寝するのが当然なのに、母が田の番人のように娘を見張っていると嘆く娘の歌である。母を猪や鹿から田を守る番人にたとえた比喩にユーモアがある。一云では結句を「母が守らしし」とする。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「魂合へば」は、二人の魂が通い合えば、の意である。
 二句「相寝るものを」は、共寝をするものなのに、の意である。
 三句「小山田の」は、山あいの小さな田の、の意である。
 四句「鹿猪田守るごと」は、猪や鹿に荒らされないよう田を見張るように、の意である。
 結句「母し守らすも」は、母が見張っておいでだ、の意で、娘を見張る母を田の番人にたとえている。

ししだ:猪や鹿が荒らしに来る田
もる:見張る、守る
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
水を多み上田に種蒔き稗を多み 選らえし業ぞ我がひとり寝る
次の歌
春日野に照れる夕日の外のみに 君を相見て今ぞ悔しき