春日野に照れる夕日の外のみに
君を相見て今ぞ悔しき
- 歌の意味
-
春日野に照っている夕日のように、遠くからよそながらあなたを見ただけで、今になって悔しい。
- 鑑賞
-
巻第十二 寄物陳思 3001
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
春日野に照る夕日を遠く眺めるように、よそながら見ただけで近づかなかったことを、今になって悔やむ歌である。夕日の美しい情景が、手の届かない相手への思いを印象づけている。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「春日野に」は、奈良市の春日山のふもとに広がる野に、の意である。
二句「照れる夕日の」は、照っている夕日の、の意で、遠くに見える夕日から「外のみに」を導く序詞となる。
三句「外のみに」は、よそながらにだけ、の意である。
四句「君を相見て」は、あなたを見て、の意である。
結句「今ぞ悔しき」の「ぞ」は係助詞で、連体形「悔しき」で結び、近づかなかったことを今になって悔やんでいる。
ゆふひ:夕日
- 作者
-
作者未詳
- 出典
-
万葉集
- 前の歌
-
魂合へば相寝るものを小山田の 鹿猪田守るごと母し守らすも
- 次の歌
-
あしひきの山より出づる月待つと 人には言ひて妹待つ我れを