古典和歌stream

久方の天つみ空に照る月の
失せなむ日こそ我が恋止まめ

歌の意味
大空に照る月がなくなってしまう日こそ、私の恋もやむだろう。
鑑賞
巻第十二 寄物陳思 3004

詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
 大空に照る月がなくなる日にこそ自分の恋もやむだろうと、永遠に変わらない恋を誓う歌である。月という大きな存在を持ち出すことで、恋の永遠性を強く印象づけている。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「久方の」は、「天」にかかる枕詞である。
 二句「天つみ空に」は、大空に、の意である。
 三句「照る月の」は、照っている月が、の意である。
 四句「失せなむ日こそ」は、なくなってしまう日こそ、の意で、結句の已然形「止まめ」と係り結びをなす。
 結句「我が恋止まめ」は、私の恋もやむだろう、の意で、月が消えることはないから恋も永遠にやまない、と誓っている。

ひさかた:「天」「空」「月」などにかかる枕詞
うす:消えてなくなる
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
夕月夜暁闇のおほほしく 見し人ゆゑに恋ひわたるかも
次の歌
十五日に出でにし月の高々に 君をいませて何をか思はむ