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あしひきの山を木高み夕月を
いつかと君を待つが苦しさ

歌の意味
山の木々が高いので、なかなか出ない夕月をいつかいつかと待つように、あなたを待つのは苦しいことだ。
鑑賞
巻第十二 寄物陳思 3008

詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
 山の木が高くてなかなか出ない夕月を待つように、いつ来るかと恋人を待つ苦しさを歌う女の歌である。月の出を待つ情景が、恋人を待つ心と重ねられている。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「あしひきの」は、「山」にかかる枕詞である。
 二句「山を木高み」は、山の木々が高いので、の意である。
 三句「夕月を」は、なかなか姿を見せない夕月を、の意で、ここまでが「いつかと」を導く序詞となる。
 四句「いつかと君を」は、いつかいつかとあなたを、の意である。本巻の第三千二首も月を待つことと人を待つこととを重ねている。
 結句「待つが苦しさ」は、待つことの苦しさよ、と体言止めで結んでいる。

ゆふづき:夕方の月
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
ぬばたまの夜渡る月のさやけくは よく見てましを君が姿を
次の歌
橡の衣解き洗ひ真土山 本つ人にはなほしかずけり