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我妹子に衣春日の宜寸川
よしもあらぬか妹が目を見む

歌の意味
いとしい妻に衣を貸すという春日の宜寸川の名のように、何かよい手立てはないものか。あの子に逢いたい。
鑑賞
巻第十二 寄物陳思 3011

詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
 妻に衣を貸すことから春日へ、宜寸川から「よし」へと、言葉を連ねて逢う手立てを求める心を導く歌である。地名を巧みに用いた技巧的な序詞が特色である。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「我妹子に」は、いとしい妻に、の意である。
 二句「衣春日の」は、衣を「貸す」と地名の「春日」とを掛け、春日へと続けている。
 三句「宜寸川」は、春日にある川で、ここまでが同音の「よし」を導く序詞となる。
 四句「よしもあらぬか」は、手立てはないものか、の意で、「ぬか」は願望を表す。
 結句「妹が目を見む」は、あの子に逢いたい、の意で、「目を見る」は逢うことをいう。

よし:手立て、方法
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
佐保川の川波立たず静けくも 君にたぐひて明日さへもがも
次の歌
との曇り雨布留川のさざれ波 間なくも君は思ほゆるかも