古典和歌stream

三輪山の山下響み行く水の
水脈し絶えずは後も我が妻

歌の意味
三輪山の麓を音を響かせて流れていく水の流れが絶えないならば、後々までも私の妻だ。
鑑賞
巻第十二 寄物陳思 3014

詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
 三輪山の麓を轟いて流れる川の水脈が絶えない限り、いつまでも私の妻だと誓う男の歌である。神の山の麓を流れる力強い水の情景が、誓いの確かさを支えている。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「三輪山の」は、奈良県桜井市にある神の山である。
 二句「山下響み」は、山のふもとを音を響かせて、の意である。
 三句「行く水の」は、流れていく水の、の意である。
 四句「水脈し絶えずは」は、水の流れが絶えないならば、の意である。本巻の第二千八百六十首も絶えない水の流れを恋にたとえている。
 結句「後も我が妻」は、後々までも私の妻だ、と体言止めで力強く言い切っている。

みを:水の流れる筋、水脈
とよむ:音が鳴り響く
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
我妹子や我を忘らすな石上 袖布留川の絶えむと思へや
次の歌
神のごと聞こゆる瀧の白波の 面知る君が見えぬこのころ