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高湍なる能登瀬の川の後も逢はむ
妹には我れは今にあらずとも

歌の意味
高湍にある能登瀬の川の名のように、後にはきっと逢おう、あの子には私は。今ではなくとも。
鑑賞
巻第十二 寄物陳思 3018

詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
 能登瀬川の「のと」の音から「後」を導き、今は逢えなくとも後には必ず逢おうと決意する歌である。逢えない今を受け入れつつ、将来への望みをつないでいる。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「高湍なる」は、高湍にある、の意で、地名とされるが所在には諸説がある。
 二句「能登瀬の川の」は、能登瀬川の、の意で、「のと」の音から「後」を導く序詞となる。
 三句「後も逢はむ」は、後にはきっと逢おう、の意で、六音の字余りである。
 四句「妹には我れは」は、あの子には私は、の意である。
 結句「今にあらずとも」は、今ではなくても、の意で、今は逢えなくてもいつかは逢おうという決意を示している。

のち:後、将来
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
あしひきの山川水の音に出でず 人の子ゆゑに恋ひわたるかも
次の歌
洗ひ衣取替川の川淀の 淀まむ心思ひかねつも