隠り沼の下ゆ恋ひあまり白波の
いちしろく出でぬ人の知るべく
- 歌の意味
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隠れた沼のように心の底で恋い慕っていたのが、思いあまって、白波のようにはっきりと表に出てしまった。人に知られるほどに。
- 鑑賞
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巻第十二 寄物陳思 3023
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
心の底で秘めていた恋が思いあまって、白波のようにはっきり表に出てしまったと歌う。第三千二十一首で人に知られるほど嘆いたりはしないと誓った忍ぶ恋が、ついに表に現れてしまったという展開になっており、三首の結びをなしている。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「隠り沼の」は、「下」にかかる枕詞で、本巻の第三千二十一首と同じ初句である。
二句「下ゆ恋ひあまり」は、心の底で恋い慕って思いあまり、の意で、八音の字余りである。
三句「白波の」は、白く目立つ波で、「いちしろく」を導いている。
四句「いちしろく出でぬ」は、はっきりと表に出てしまった、の意で、ここで四句切れとなる。
結句「人の知るべく」は、人に知られるほどに、の意である。第三千二十一首の「人の知るべく嘆きせめやも」と同じ語を用い、誓いが破れたことを示して対照をなしている。
こもりぬ:草に覆われて見えない沼、「下」にかかる枕詞
いづ:表に出る
- 作者
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作者未詳
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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ゆくへなみ隠れる小沼の下思に 我れぞ物思ふこのころの間
- 次の歌
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妹が目を見まく堀江のさざれ波 しきて恋ひつつありと告げこそ