君は来ず我れは故なみ立つ波の
しくしくわびしかくて来じとや
- 歌の意味
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あなたは来ない。私には訪ねていく口実もない。立つ波が繰り返し寄せるように、しきりにわびしい。このまま来ないつもりなのか。
- 鑑賞
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巻第十二 寄物陳思 3026
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
男は来ず、女の側からは訪ねる口実もなく、繰り返し寄せる波のようにわびしさが募ると嘆く女の歌である。このまま来ないつもりかと問う結句に、恨みと不安とが込められている。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「君は来ず」は、あなたは来ない、の意で、ここで初句切れとなる。
二句「我れは故なみ」は、私には訪ねていく理由もないので、の意である。
三句「立つ波の」は、立つ波が繰り返し寄せるように、の意で、「しくしく」を導いている。
四句「しくしくわびし」は、しきりにわびしい、の意で、ここで四句切れとなる。
結句「かくて来じとや」は、このまま来ないつもりなのか、の意で、恨みと不安とが込められている。
ゆゑ:理由、口実
- 作者
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作者未詳
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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石走る垂水の水のはしきやし 君に恋ふらく我が心から
- 次の歌
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近江の海辺は人知る沖つ波 君をおきては知る人もなし