近江の海辺は人知る沖つ波
君をおきては知る人もなし
- 歌の意味
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近江の湖の岸辺の波は人が知っているが、沖の波のような私の心の奥は、あなた以外に知る人もいない。
- 鑑賞
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巻第十二 寄物陳思 3027
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
近江の湖の岸辺の波と沖の波とを対比し、表に見える思いは人も知るが、心の奥の思いはあなたしか知らないと訴える歌である。「沖」と「おきて」の音の響き合いに技巧がある。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「近江の海」は、琵琶湖をいい、仮名の行では「あふみのうみ」と読む六音の字余りである。
二句「辺は人知る」は、岸辺の波は人が知っている、の意で、表に見える思いをたとえている。仮名の行では「辺」を「へた」と読む。
三句「沖つ波」は、沖の波で、人目に触れない心の奥の思いをたとえている。「沖」と四句の「おきて」とが響き合っている。
四句「君をおきては」は、あなたを除いては、の意である。
結句「知る人もなし」は、知る人もいない、の意で、心の奥はあなただけが知ると訴えている。
へた:岸辺、水際
おきつなみ:沖に立つ波
- 作者
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作者未詳
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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君は来ず我れは故なみ立つ波の しくしくわびしかくて来じとや
- 次の歌
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大海の底を深めて結びてし 妹が心はうたがひもなし