佐太の浦に寄する白波間なく
思ふを何か妹に逢ひかたき
- 歌の意味
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佐太の浦に寄せる白波のように絶え間なく思っているのに、どうしてあの子に逢いがたいのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十二 寄物陳思 3029
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
佐太の浦に絶え間なく寄せる白波を序として、絶えず思っているのにどうして逢えないのかと嘆く歌である。打ち寄せる波の絶え間なさが、思いの絶え間なさを印象づけている。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「佐太の浦に」は、所在に諸説のある地名で、六音の字余りである。本巻の第三千百六十首にも同じ地名が見える。
二句「寄する白波」は、寄せる白波で、ここまでが「間なく」を導く序詞となる。
三句「間なく」は、絶え間なく、の意である。
四句「思ふを何か」は、思っているのに、どうして、の意で、「か」は疑問を表し、結句の連体形「かたき」で結ぶ。
結句「妹に逢ひかたき」は、あの子に逢いがたいのか、の意で、本巻の第二千八百五十六首と同じ結句である。
しらなみ:白く砕ける波
- 作者
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作者未詳
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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大海の底を深めて結びてし 妹が心はうたがひもなし
- 次の歌
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思ひ出でてすべなき時は天雲の 奥処も知らず恋ひつつぞ居る