古典和歌stream

なかなかに何か知りけむ我が山に
燃ゆる煙の外に見ましを

歌の意味
なまじっか、どうして知り合ってしまったのだろう。自分の山に燃える煙を眺めるように、よそごととして見ていればよかったのに。
鑑賞
巻第十二 寄物陳思 3033

詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
 なまじ知り合ったために恋に苦しむことになったと悔やみ、遠くの煙を眺めるようによそごととして見ていればよかったと歌う。恋を燃える煙にたとえ、知り合ったことへの後悔を述べている。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「なかなかに」は、なまじっか、かえって、の意で、本巻の第二千八百九十九首と同じ初句である。
 二句「何か知りけむ」は、どうして知り合ってしまったのだろう、の意で、ここで二句切れとなる。
 三句「我が山に」は、自分の山に、の意である。
 四句「燃ゆる煙の」は、燃える煙のように、の意で、恋の思いを火と煙にたとえている。
 結句「外に見ましを」は、よそごととして見ていればよかったのに、の意で、「まし」は反実仮想を表す。

けぶり:煙
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
君があたり見つつも居らむ生駒山 雲なたなびき雨は降るとも
次の歌
我妹子に恋ひすべながり胸を熱み 朝戸開くれば見ゆる霧かも