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我妹子に恋ひすべながり胸を熱み
朝戸開くれば見ゆる霧かも

歌の意味
いとしい妻に恋してどうしようもなく、胸が熱いので、朝の戸を開けると、外には霧が立ちこめて見えることだ。
鑑賞
巻第十二 寄物陳思 3034

詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
 恋の苦しさに胸が熱く、朝の戸を開けると霧が立ちこめていたと歌う。胸の熱さと立ちこめる霧とを結びつけた発想には、嘆きの息が霧となるという考え方によるとする説がある。ここから霧を詠む歌が続く。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「我妹子に」は、いとしい妻に、の意である。
 二句「恋ひすべながり」は、恋してどうしようもなく思い、の意である。
 三句「胸を熱み」は、胸が熱いので、の意で、六音の字余りである。
 四句「朝戸開くれば」は、朝の戸を開けると、の意である。
 結句「見ゆる霧かも」は、見える霧であることよ、の意で、胸の熱さと立ちこめる霧とが結びつけられている。

すべながる:どうしようもなく思う
あさと:朝に開ける戸
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
なかなかに何か知りけむ我が山に 燃ゆる煙の外に見ましを
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