かく恋ひむものと知りせば夕置きて
朝は消ぬる露ならましを
- 歌の意味
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これほど恋しく思うものと知っていたなら、夕方に置いて朝には消えてしまう露であればよかったのに。
- 鑑賞
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巻第十二 寄物陳思 3038
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
これほど恋に苦しむと知っていたなら、夕方に置いて朝に消える露であればよかったと、はかなく消えることを願うほどの恋の苦しさを歌う。ここから露を詠む歌が続き、次歌の第三千三十九首とは上句と下句の言葉が受け継がれている。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「かく恋ひむ」は、これほど恋しく思う、の意である。
二句「ものと知りせば」は、ものと知っていたならば、の意で、結句の「まし」と呼応する反実仮想である。本巻の第二千八百六十七首第三千百四十三首も同じ発想で歌い出している。
三句「夕置きて」は、夕方に置いて、の意で、仮名の行では「ゆふへおきて」と読む六音の字余りである。
四句「朝は消ぬる」は、朝には消えてしまう、の意である。次歌の第三千三十九首は上二句を「夕置きて朝は消ぬる」とし、この三句と四句を受けている。
結句「露ならましを」は、露であればよかったのに、の意で、はかなく消える露になりたいと願うほどの恋の苦しさを示している。
つゆ:露
く:消える
- 作者
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作者未詳
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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殺目山行き返り道の朝霞 ほのかにだにや妹に逢はざらむ
- 次の歌
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夕置きて朝は消ぬる白露の 消ぬべき恋も我れはするかも