朝な朝な草の上白く置く露の
消なばともにと言ひし君はも
- 歌の意味
-
毎朝毎朝、草の上に白く置く露のように、消えるならば一緒にと言ったあなたは、ああ。
- 鑑賞
-
巻第十二 寄物陳思 3041
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
朝ごとに草の上に置く露のように、消えるなら一緒にと言った相手を偲ぶ女の歌である。結句の深い詠嘆には、すでに亡くなった相手を思う挽歌のような響きがあるとされる。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「朝な朝な」は、毎朝毎朝、の意である。
二句「草の上白く」は、草の上に白く、の意で、八音の字余りである。
三句「置く露の」は、置いている露の、の意で、ここまでが「消」を導く序詞となる。
四句「消なばともにと」は、消えるならば一緒にと、の意で、死ぬ時は共にと誓った言葉である。
結句「言ひし君はも」は、そう言ったあなたは、ああ、の意で、「はも」は深い詠嘆を表し、今はいない相手を偲んでいる。
く:消える
- 作者
-
作者未詳
- 出典
-
万葉集
- 前の歌
-
後つひに妹は逢はむと朝露の 命は生けり恋は繁けど
- 次の歌
-
朝日さす春日の小野に置く露の 消ぬべき我が身惜しけくもなし