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君待つと庭のみ居ればうち靡く
我が黒髪に霜ぞ置きにける

歌の意味
あなたを待つとて庭にばかり出ていたので、なびく私の黒髪に霜が置いてしまった。
鑑賞
巻第十二 寄物陳思 3044

詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
 恋人を待って庭に出ているうちに、黒髪に霜が置いてしまったと歌う女の歌である。巻第二の第八十七首の磐姫皇后の歌にも「うち靡く我が黒髪に霜の置くまでに」とあり、待つ女の姿を黒髪の霜で表す共通の表現が見える。左注の或本では三句以下を「白栲の我が衣手に露ぞ置きにける」とする。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「君待つと」は、あなたを待つとて、の意である。
 二句「庭のみ居れば」は、庭にばかりいたので、の意である。
 三句「うち靡く」は、なびく、の意で、「黒髪」を修飾する。
 四句「我が黒髪に」は、私の黒髪に、の意である。
 結句「霜ぞ置きにける」の「ぞ」は係助詞で、連体形「ける」で結び、長い時間待ち続けたことを霜によって示している。

には:庭
くろかみ:黒い髪
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
露霜の消やすき我が身老いぬとも またをちかへり君をし待たむ
次の歌
朝霜の消ぬべくのみや時なしに 思ひわたらむ息の緒にして