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み狩りする雁羽の小野の櫟柴の
なれはまさらず恋こそまされ

歌の意味
狩りをする雁羽の野の櫟柴の名のように、慣れ親しむことは増さらず、恋しさばかりがまさることだ。
鑑賞
巻第十二 寄物陳思 3048

詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
 狩り場の雁羽の野の櫟柴を序として、慣れ親しむことは増えず恋しさばかりが増すと嘆く歌である。逢瀬が重ならないまま、思いだけが深まるもどかしさを表している。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「み狩りする」は、狩りをする、の意で、「狩り」と同音の「雁羽」にかかる。
 二句「雁羽の小野の」は、雁羽の野の、の意で、所在には諸説がある。
 三句「櫟柴の」は、くぬぎなどの雑木で、ここまでが「なら」の音から「なれ」を導く序詞となる。
 四句「なれはまさらず」は、慣れ親しむことは増さらず、の意である。
 結句「恋こそまされ」の「こそ」は係助詞で、已然形「まされ」で結び、恋しさばかりが増すと強調している。

ならしば:くぬぎなどの雑木
なる:慣れ親しむ
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
神さびて巌に生ふる松が根の 君が心は忘れかねつも
次の歌
桜麻の麻生の下草早く生ひば 妹が下紐解かずあらましを