桜麻の麻生の下草早く生ひば
妹が下紐解かずあらましを
- 歌の意味
-
桜麻の麻畑の下草が早く生えていたならば、あの子の下紐を解かずにいたものを。
- 鑑賞
-
巻第十二 寄物陳思 3049
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
麻畑の下草が早く生えていたなら恋人の下紐を解かずにいたのに、と過去を振り返る歌である。契りを結んだことへの複雑な思いを込めているとされるが、上三句のかかり方を含め解釈には諸説がある。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「桜麻の」は、麻の一種とされ、「麻生」にかかる。
二句「麻生の下草」は、麻畑の下に生える草、の意である。
三句「早く生ひば」は、早く生えていたならば、の意で、結句の「まし」と呼応する反実仮想の条件である。
四句「妹が下紐」は、あの子の下紐を、の意である。
結句「解かずあらましを」は、解かずにいたものを、の意で、契りを結んだことへの複雑な思いを込めているとされるが、解釈には諸説がある。
をふ:麻の生えている畑
したくさ:木や草の下に生える草
- 作者
-
作者未詳
- 出典
-
万葉集
- 前の歌
-
み狩りする雁羽の小野の櫟柴の なれはまさらず恋こそまされ
- 次の歌
-
春日野に浅茅標結ひ絶えめやと 我が思ふ人はいや遠長に