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浅茅原茅生に足踏み心ぐみ
我が思ふ子らが家のあたり見つ

歌の意味
浅茅の原の茅の生えた所に足を踏み入れ、心晴れないまま、私が思うあの子の家のあたりを眺めた。
鑑賞
巻第十二 寄物陳思 3057

詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
 浅茅の原を踏み分けて、晴れない心のまま恋しい娘の家のあたりを眺めたと歌う。逢えずに家のあたりを遠く眺める男の切ない心情が描かれている。一云では下二句を「妹が家のあたり見つ」とする。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「浅茅原」は、丈の低い茅の生えた野原である。
 二句「茅生に足踏み」は、茅の生えた所に足を踏み入れて、の意である。
 三句「心ぐみ」は、心が晴れず苦しく思って、の意である。
 四句「我が思ふ子らが」は、私が思うあの子の、の意で、仮名の行では「あがもふこらが」と読む。
 結句「家のあたり見つ」は、家のあたりを眺めた、の意である。

あさぢはら:丈の低い茅の生えた野原
ちふ:茅の生えた所
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
妹が門行き過ぎかねて草結ぶ 風吹き解くなまたかへり見む
次の歌
うちひさす宮にはあれど月草の うつろふ心我が思はなくに