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うちひさす宮にはあれど月草の
うつろふ心我が思はなくに

歌の意味
華やかな宮仕えの身ではあるけれど、月草の色が移ろうような変わりやすい心を、私は持ってはいない。
鑑賞
巻第十二 寄物陳思 3058

詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
 華やかな宮廷に仕え多くの人と接する身ではあるが、月草の色のように移ろう心は持っていないと誓う歌である。次の第三千五十九首と対をなし、心変わりしないことを重ねて誓っている。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「うちひさす」は、日の光が輝く意で、「宮」にかかる枕詞である。
 二句「宮にはあれど」は、宮仕えをしてはいるけれど、の意で、華やかな宮廷で多くの人に接する身であることを示す。
 三句「月草の」は、露草のことで、その花で染めた色が移ろいやすいことから「うつろふ」にかかる枕詞である。
 四句「うつろふ心」は、移り変わる心、の意である。
 結句「我が思はなくに」は、私は持ってはいないのに、の意で、心変わりはしないと誓っている。

つきくさ:露草、その花で染めた色が移ろいやすい
うつろふ:色があせる、心が変わる
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
浅茅原茅生に足踏み心ぐみ 我が思ふ子らが家のあたり見つ
次の歌
百に千に人は言ふとも月草の うつろふ心我れ持ためやも