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百に千に人は言ふとも月草の
うつろふ心我れ持ためやも

歌の意味
百にも千にも人があれこれ言っても、月草のように移ろう心を、私が持つだろうか。
鑑賞
巻第十二 寄物陳思 3059

詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
 人がどれほど噂を言い立てても、月草のように移ろう心は持たないと誓う歌である。前歌と同じ「月草のうつろふ心」の句を用い、二首で心変わりしない誓いを重ねている。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「百に千に」は、百にも千にも、あれこれと、の意である。
 二句「人は言ふとも」は、人が言っても、の意で、噂や中傷をいう。
 三句「月草の」は、「うつろふ」にかかる枕詞で、前歌と同じ語である。
 四句「うつろふ心」は、移ろう心、の意で、前歌と同じ句である。
 結句「我れ持ためやも」は反語で、私が持つだろうか、いや持たない、の意である。

つきくさ:露草、その花で染めた色が移ろいやすい
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
うちひさす宮にはあれど月草の うつろふ心我が思はなくに
次の歌
忘れ草我が紐に付く時となく 思ひわたれば生けりともなし