忘れ草我が紐に付く時となく
思ひわたれば生けりともなし
- 歌の意味
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憂いを忘れるという忘れ草を、私の衣の紐に付ける。いつということもなく思い続けているので、生きている心地もしない。
- 鑑賞
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巻第十二 寄物陳思 3060
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
憂いを忘れるという忘れ草を衣の紐に付けるが、絶えず思い続けて生きた心地もしないと嘆く歌である。忘れたいと願うほどの恋の苦しさが述べられている。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「忘れ草」は、萱草のことで、身に付けると憂いを忘れるとされた。本巻の第三千六十二首にも詠まれている。
二句「我が紐に付く」は、私の衣の紐に付ける、の意で、ここで二句切れとなる。
三句「時となく」は、いつということもなく、の意である。
四句「思ひわたれば」は、思い続けているので、の意である。
結句「生けりともなし」は、生きている心地もしない、の意で、本巻の第二千九百八十首と同じ結句である。
わすれぐさ:萱草、身に付けると憂いを忘れるとされた
- 作者
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作者未詳
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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百に千に人は言ふとも月草の うつろふ心我れ持ためやも
- 次の歌
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暁の目覚まし草とこれをだに 見つついまして我れと偲はせ