忘れ草垣もしみみに植ゑたれど
醜の醜草なほ恋ひにけり
- 歌の意味
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忘れ草を垣根いっぱいに植えたけれど、役立たずのいまいましい草め、やはり恋しく思ってしまった。
- 鑑賞
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巻第十二 寄物陳思 3062
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
憂いを忘れるという忘れ草を垣根いっぱいに植えたのに恋しさは消えず、忘れ草をいまいましい草とののしる歌である。効き目のない忘れ草への八つ当たりに、ユーモアと恋の苦しさとが同居している。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「忘れ草」は、憂いを忘れるとされた萱草で、本巻の第三千六十首に続いて詠まれている。
二句「垣もしみみに」は、垣根いっぱいにびっしりと、の意である。
三句「植ゑたれど」は、植えたけれど、の意である。
四句「醜の醜草」は、役立たずのいまいましい草よ、と忘れ草をののしる言葉で、「醜」を重ねて強めている。
結句「なほ恋ひにけり」は、やはり恋しく思ってしまった、の意で、本巻の第二千八百四十五首と同じ結句である。
しこくさ:いまいましい草、役に立たない草
うう:植える
- 作者
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作者未詳
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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暁の目覚まし草とこれをだに 見つついまして我れと偲はせ
- 次の歌
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浅茅原小野に標結ふ空言も 逢はむと聞こせ恋のなぐさに