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み吉野の秋津の小野に刈る草の
思ひ乱れて寝る夜しぞ多き

歌の意味
吉野の秋津の野で刈る草が乱れるように、思い乱れて寝る夜が多いことだ。
鑑賞
巻第十二 寄物陳思 3065

詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
 吉野の秋津野で刈る草の乱れを序として、思い乱れて寝る夜が多いと歌う。刈り取られて散り乱れる草の姿が、恋に乱れる心と重ねられている。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「み吉野の」は、奈良県の吉野の、の意で、「み」は美称である。
 二句「秋津の小野に」は、吉野の秋津の野に、の意である。本巻の第三千百七十九首にも秋津野が詠まれている。
 三句「刈る草の」は、刈る草のように、の意で、仮名の行では「かるかや」と読む。ここまでが刈り取った草の乱れから「思ひ乱れて」を導く序詞となる。
 四句「思ひ乱れて」は、思い乱れて、の意である。
 結句「寝る夜しぞ多き」の「し」は強意、「ぞ」は係助詞で、連体形「多き」で結ぶ。

かや:屋根を葺く草、ススキやチガヤなどの総称
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
人皆の笠に縫ふといふ有間菅 ありて後にも逢はむとぞ思ふ
次の歌
妹待つと御笠の山の山菅の 止まずや恋ひむ命死なずは