谷狭み嶺辺に延へる玉葛
延へてしあらば年に来ずとも
- 歌の意味
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谷が狭いので峰の方へと伸びていく玉葛のように、心が長く通い合っているならば、一年に一度来なくても構わない。
- 鑑賞
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巻第十二 寄物陳思 3067
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
峰へと長く伸びていく玉葛のように、心が長く通い合っているならば、一年に一度来なくても構わないと歌う。逢瀬の回数よりも心のつながりを重んじる余裕のある心が述べられている。一云では三句と四句を「岩つなの延へてしあらば」とする。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「谷狭み」は、谷が狭いので、の意である。
二句「嶺辺に延へる」は、峰の方へと伸びていく、の意である。
三句「玉葛」は、蔓草の美称で、ここまでが長く伸びることから「延へ」を導く序詞となる。
四句「延へてしあらば」は、心が長く通い合っているならば、の意である。
結句「年に来ずとも」は、一年に一度も来なくても、の意で、変わらぬ心を信じる余裕を示している。
たまかづら:蔓草の美称、「懸く」「絶ゆ」などにかかる枕詞
はふ:蔓などが長く伸びる、心を長く通わせる
みねへ:峰のあたり
- 作者
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作者未詳
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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妹待つと御笠の山の山菅の 止まずや恋ひむ命死なずは
- 次の歌
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水茎の岡の葛葉を吹きかへし 面知る子らが見えぬころかも