水茎の岡の葛葉を吹きかへし
面知る子らが見えぬころかも
- 歌の意味
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岡の葛の葉を風が吹き返して白い裏をはっきり見せるように、顔をよく知っているあの子が、姿を見せないこのごろだ。
- 鑑賞
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巻第十二 寄物陳思 3068
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
岡の葛の葉が風に吹き返されて裏を見せる情景を序として、よく見知った娘が近ごろ姿を見せないことを嘆く歌である。風に翻る葛の葉の白さが、くっきりと記憶に残る相手の面影を思わせる。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「水茎の」は、「岡」にかかる枕詞である。
二句「岡の葛葉を」は、岡に生える葛の葉を、の意である。
三句「吹きかへし」は、風が吹き返して、の意で、ここまでが葉の裏がはっきり見えることから「面知る」を導く序詞となる。
四句「面知る子らが」は、顔をよく知っているあの子が、の意で、本巻の第三千十五首の「面知る君が」に通じる句である。
結句「見えぬころかも」は、姿を見せないこのごろだ、の意で、本巻の第二千九百七十二首と同じ結句である。
みづくき:「岡」にかかる枕詞
くずは:葛の葉
- 作者
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作者未詳
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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谷狭み嶺辺に延へる玉葛 延へてしあらば年に来ずとも
- 次の歌
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赤駒のい行きはばかる真葛原 何の伝て言直にしよけむ