古典和歌stream

丹波道の大江の山のさな葛
絶えむの心我が思はなくに

歌の意味
丹波へ行く道の大江山のさな葛が長く続くように、仲を絶とうとする心など、私は持ってはいないのに。
鑑賞
巻第十二 寄物陳思 3071

詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
 大江山のさな葛が長く続くように、仲を絶とうとする心など持っていないと誓う歌である。前歌に続いてさな葛を詠み込み、蔓の長さに変わらぬ心を託している。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「丹波道の」は、丹波へ行く道の、の意で、仮名の行では「たにはぢ」と読む。
 二句「大江の山の」は、京都府の大江山の、の意である。
 三句「さな葛」は、蔓草の一種で、ここまでが蔓が長く続くことから「絶えむ」を導く序詞となる。前歌に続いてさな葛を詠み込んでいる。
 四句「絶えむの心」は、仲を絶とうとする心、の意である。
 結句「我が思はなくに」は、私は持ってはいないのに、の意で、本巻の第三千五十八首と同じ結句である。

たにはぢ:丹波へ行く道
さなかづら:蔓草の一種、サネカズラ
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
木綿畳田上山のさな葛 ありさりてしも今ならずとも
次の歌
大崎の荒礒の渡り延ふ葛の ゆくへもなくや恋ひわたりなむ