かくしてぞ人は死ぬといふ藤波の
ただ一目のみ見し人ゆゑに
- 歌の意味
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こうして人は恋に死ぬというのだ。波のように揺れる藤の花房のように、ただ一目見ただけの人のために。
- 鑑賞
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巻第十二 寄物陳思 3075
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
一目見ただけの人を恋して死ぬほど苦しみ、人が恋に死ぬというのはこういうことかと悟る歌である。揺れる藤の花房の美しさが、一目見た相手の印象の鮮やかさを伝えている。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「かくしてぞ」は、このようにして、の意で、「ぞ」は二句の連体形「いふ」で結ぶ。
二句「人は死ぬといふ」は、人は恋に死ぬというのだ、の意で、八音の字余りである。ここで二句切れとなる。
三句「藤波の」は、波のように揺れる藤の花房の、の意で、美しく目を引くことから「一目見し」を導いている。
四句「ただ一目のみ」は、ただ一目だけ、の意である。
結句「見し人ゆゑに」は、見た人のために、の意で、本巻の第三千三首にも同じ句が見える。
ふぢなみ:波のように揺れる藤の花房
- 作者
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作者未詳
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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はねず色のうつろひやすき心あれば 年をぞ来経る言は絶えずて
- 次の歌
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住吉の敷津の浦のなのりその 名は告りてしを逢はなくも怪し