葦辺行く鴨の羽音の音のみに
聞きつつもとな恋ひわたるかも
- 歌の意味
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葦辺を飛んでいく鴨の羽音のように、噂ばかりを聞きながら、むやみに恋い続けることだ。
- 鑑賞
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巻第十二 寄物陳思 3090
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
葦辺を飛ぶ鴨の羽音を序として、噂にだけ聞く人をむやみに恋い続けると歌う。羽音と噂とを「音」の一語で結びつけた技巧が見どころである。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「葦辺行く」は、葦の生えた水辺を飛んでいく、の意である。
二句「鴨の羽音の」は、鴨の羽音のように、の意で、ここまでが「音」を導く序詞となる。
三句「音のみに」は、噂だけを、の意で、「音」に羽音と噂の意を重ねている。
四句「聞きつつもとな」は、聞きながらむやみに、の意である。
結句「恋ひわたるかも」は、恋い続けることだ、の意で、噂にだけ聞く人への恋を表している。
あしへ:葦の生えている水辺
はおと:羽音
- 作者
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作者未詳
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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遠つ人狩道の池に住む鳥の 立ちても居ても君をしぞ思ふ
- 次の歌
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鴨すらもおのが妻どちあさりして 後るる間に恋ふといふものを