物思ふと寐ねず起きたる朝明には
わびて鳴くなり庭つ鳥さへ
- 歌の意味
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物思いをして眠らずに起きていた明け方には、鶏までもがわびしげに鳴いている。
- 鑑賞
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巻第十二 寄物陳思 3094
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
物思いで眠れぬまま迎えた明け方に、鶏までもがわびしげに鳴いていると歌う。自分の心のわびしさを、鶏の鳴き声に映して聞いている。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「物思ふと」は、物思いをするとて、の意で、仮名の行では「ものもふと」と読む。
二句「寐ねず起きたる」は、眠らずに起きていた、の意である。
三句「朝明には」は、明け方には、の意である。本巻の第二千八百四十一首第三千九十五首にも「朝明」の語が見える。
四句「わびて鳴くなり」は、わびしげに鳴いている、の意で、「なり」は音によって判断する推定を表す。
結句「庭つ鳥さへ」は、鶏までもが、の意で、倒置によって、自分の心のわびしさを鶏の声に重ねている。
にはつとり:鶏
わぶ:わびしく思う、嘆く
- 作者
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作者未詳
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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小竹の上に来居て鳴く鳥目を安み 人妻ゆゑに我れ恋ひにけり
- 次の歌
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朝烏早くな鳴きそ我が背子が 朝明の姿見れば悲しも