おのれゆゑ罵らえて居れば青馬の
面高夫駄に乗りて来べしや
- 歌の意味
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あなたのせいで私が叱られているというのに、青毛の馬の、顔を高く上げた荷馬などに乗って、のこのこやって来てよいものか。
- 鑑賞
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巻第十二 寄物陳思 3098
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
自分が恋のために責められているのに、人目に立つ馬に乗ってやって来る男をなじる女の歌である。前の二首に続いて馬を詠み込み、ユーモアを交えた叱責の調子が特色である。
作者の多紀皇女は天武天皇の皇女で、託基皇女とも記される。左注によれば、この歌は平群文屋朝臣益人の伝えとして、皇女がひそかに高安王に嫁して責められた時の作とされ、高安王はそのために伊予国守に左遷されたという。左注の皇女の名は古くから「紀皇女」と読まれてきたが、ここでは文字を改めて「多紀皇女」とする吉永登の説に従う。
高安王は養老三年に伊予守となり、のちに大原真人の姓を賜った人物である。
初句「おのれゆゑ」は、お前のせいで、の意で、相手の男を指している。
二句「罵らえて居れば」は、叱られているのに、の意である。
三句「青馬の」は、青みがかった黒毛の馬の、の意である。
四句「面高夫駄に」は、顔を高く上げた荷物運びの馬に、の意で、仮名の行では「おもたかぶだ」と読む。
結句「乗りて来べしや」は、乗って来てよいものか、の意の反語で、人目に立つ姿で通ってくる男をなじっている。
ぶだ:荷物を運ぶ馬、駄馬
のる:叱る、ののしる
- 作者
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多紀皇女
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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さ桧隈桧隈川に馬留め 馬に水飼へ我れ外に見む
- 次の歌
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紫草を草と別く別く伏す鹿の 野は異にして心は同じ