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紫草を草と別く別く伏す鹿の
野は異にして心は同じ

歌の意味
紫草を他の草と区別して、紫草のある所を選んで伏す鹿のように、住む野は別々であっても、心は同じだ。
鑑賞
巻第十二 寄物陳思 3099

詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
 紫草を選んで伏す鹿を序として、住む所は離れていても心は同じだと歌う。離れて暮らしていても心が通じ合っていることへの信頼が述べられている。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「紫草を」は、根から紫の染料をとる紫草を、の意である。
 二句「草と別く別く」は、他の草と区別しながら、の意である。
 三句「伏す鹿の」は、伏して寝る鹿のように、の意で、ここまでが序詞となる。
 四句「野は異にして」は、住む野は別々であって、の意である。
 結句「心は同じ」は、心は同じだ、の意で、仮名の行では「おやじ」と読む。離れて暮らしていても心は通じ合っていることを述べている。

むらさき:紫草、根から紫色の染料をとる
わく:区別する
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
おのれゆゑ罵らえて居れば青馬の 面高夫駄に乗りて来べしや
次の歌
思はぬを思ふと言はば真鳥住む 雲梯の杜の神し知らさむ