古典和歌stream

逢はなくはしかもありなむ玉梓の
使をだにも待ちやかねてむ

歌の意味
逢わないのはそれでも仕方がない。けれども、せめて使いだけでも、待ちわびなければならないのだろうか。
鑑賞
巻第十二 問答歌 3103

詞書は前の歌に続き「問答の歌」
 逢えないのは仕方がないとしても、せめて使いくらいはよこしてほしいと、便りさえない相手を恨む女の歌である。次歌の男の答えと一組の問答をなしている。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「逢はなくは」は「逢はず」のク語法で、逢わないことは、の意である。
 二句「しかもありなむ」は、それでもかまわないだろう、の意で、ここで二句切れとなる。
 三句「玉梓の」は、「使」にかかる枕詞である。本巻の第二千九百四十五首も同じ枕詞を用いている。
 四句「使をだにも」は、せめて使いだけでも、の意である。
 結句「待ちやかねてむ」は、待ちわびなければならないのだろうか、の意で、使いさえよこさない相手への恨みを示している。

たまづさ:「使」にかかる枕詞
つかひ:使者、手紙や言葉を届ける人
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
たらちねの母が呼ぶ名を申さめど 道行く人を誰れと知りてか
次の歌
逢はむとは千度思へどあり通ふ 人目を多み恋つつぞ居る