古典和歌stream

相見まく欲しきがためは君よりも
我れぞまさりていふかしみする

歌の意味
逢いたいと願う気持ちについては、あなたよりも私の方がまさって、気がかりで心が晴れずにいるのだ。
鑑賞
巻第十二 問答歌 3106

詞書は前の歌に続き「問答の歌」
 逢いたいと願う気持ちは、あなたより自分の方がまさっていると、前歌の訴えに答える女の歌である。相手の嘆きを受け止めつつ、自分の思いの深さを示している。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「相見まく」は、逢うことを、の意で、「見まく」は「見む」のク語法である。
 二句「欲しきがためは」は、望むことについては、の意である。
 三句「君よりも」は、あなたよりも、の意である。
 四句「我れぞまさりて」は、私の方がまさって、の意で、「ぞ」は結句の連体形「する」で結ぶ。
 結句「いふかしみする」は、気がかりで心が晴れずにいる、の意で、前歌の男の訴えに対し、女の方がいっそう思っていると答えている。

いふかしむ:気がかりに思う、心が晴れない
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
人目多み直に逢はずてけだしくも 我が恋ひ死なば誰が名ならむも
次の歌
うつせみの人目を繁み逢はずして 年の経ぬれば生けりともなし