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うつせみの人目を繁み逢はずして
年の経ぬれば生けりともなし

歌の意味
世間の人目がうるさいので、逢わないまま年が過ぎてしまったので、生きている心地もしない。
鑑賞
巻第十二 問答歌 3107

詞書は前の歌に続き「問答の歌」
 世間の人目がうるさく逢えないまま年が過ぎ、生きている心地もしないと嘆く歌である。次歌の答えと一組の問答をなしている。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「うつせみの」は、「人目」にかかる枕詞で、本巻の第二千九百三十二首と同じ用法である。
 二句「人目を繁み」は、人目が多いので、の意である。
 三句「逢はずして」は、逢わないで、の意である。
 四句「年の経ぬれば」は、年が過ぎてしまったので、の意である。
 結句「生けりともなし」は、生きている心地もしない、の意で、本巻の第二千九百八十首第三千六十首と同じ結句である。

うつせみ:この世、現世の人、「人」「世」にかかる枕詞
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
相見まく欲しきがためは君よりも 我れぞまさりていふかしみする
次の歌
うつせみの人目繁くはぬばたまの 夜の夢にを継ぎて見えこそ