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ねもころに思ふ我妹を人言の
繁きによりて淀むころかも

歌の意味
心をこめて思っている妻なのに、人の噂がうるさいために、通いが滞っているこのごろだ。
鑑賞
巻第十二 問答歌 3109

詞書は前の歌に続き「問答の歌」
 心をこめて思う恋人なのに、噂がうるさいために通いが滞っていると嘆く男の歌である。次歌の女の答えと一組の問答をなしている。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「ねもころに」は、心をこめて、の意である。
 二句「思ふ我妹を」は、思っている妻なのに、の意である。
 三句「人言の」は、世間の噂の、の意である。
 四句「繁きによりて」は、うるさいために、の意である。
 結句「淀むころかも」は、通いが滞っているこのごろだ、の意で、本巻の第二千九百八十八首第三千十九首と同じく「淀む」で通いの滞りを表している。

ひとごと:世間の人のうわさ
よどむ:滞る、ためらう
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
うつせみの人目繁くはぬばたまの 夜の夢にを継ぎて見えこそ
次の歌
人言の繁くしあらば君も我れも 絶えむと言ひて逢ひしものかも