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夢に見て衣を取り着装ふ間に
妹が使ぞ先立ちにける

歌の意味
あなたを夢に見て、衣を取って着て身支度をしている間に、あなたからの使いの方が先に来てしまった。
鑑賞
巻第十二 問答歌 3112

詞書は前の歌に続き「問答の歌」
 夢に見てすぐに出かけようと身支度をしている間に、相手からの使いが先に来てしまったと、前歌の問いに答える男の歌である。夢を見たことを伝え、急いで駆けつけようとした誠意を示している。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「夢に見て」は、夢に見て、の意で、前歌の「夢に見えきや」の問いに、見たと答えている。
 二句「衣を取り着」は、衣を取って着て、の意である。
 三句「装ふ間に」は、身支度をしている間に、の意である。
 四句「妹が使ぞ」は、あの子からの使いが、の意で、「ぞ」は結句の連体形「ける」で結ぶ。
 結句「先立ちにける」は、先に来てしまった、の意で、急いで出かけようとした男の機先を制した女の使いをいう。

よそふ:身支度をする、装う
さきだつ:先に行く、先に来る
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
すべもなき片恋をすとこの頃に 我が死ぬべきは夢に見えきや
次の歌
ありありて後も逢はむと言のみを 堅く言ひつつ逢ふとはなしに