ありありて後も逢はむと言のみを
堅く言ひつつ逢ふとはなしに
- 歌の意味
-
このまま時を経て後には逢おうと、言葉ばかりを堅く言い続けて、実際に逢うことはなくて。
- 鑑賞
-
巻第十二 問答歌 3113
詞書は前の歌に続き「問答の歌」
いずれ逢おうと口では堅く約束しながら、実際には逢おうとしない相手を恨む女の歌である。言いさしの形で恨みを余韻として残し、次歌の答えと一組の問答をなしている。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「ありありて」は、このまま生き長らえて、時を経て、の意である。
二句「後も逢はむと」は、後には逢おうと、の意である。
三句「言のみを」は、言葉ばかりを、の意である。
四句「堅く言ひつつ」は、堅く約束しながら、の意である。
結句「逢ふとはなしに」は、実際に逢うことはなくて、の意で、言いさしの形で、口約束ばかりの相手への恨みを残している。本巻の第三千七十四首の「言は絶えずて」と同じ趣である。
ありあり:そのままの状態で生き続ける
- 作者
-
作者未詳
- 出典
-
万葉集
- 前の歌
-
夢に見て衣を取り着装ふ間に 妹が使ぞ先立ちにける
- 次の歌
-
きはまりて我れも逢はむと思へども 人の言こそ繁き君にあれ