門立てて戸は閉したれど盗人の
穿れる穴より入りて見えけむ
- 歌の意味
-
門を閉ざし戸は閉めていたけれど、盗人が掘った穴から入って、夢に見えたのだろう。
- 鑑賞
-
巻第十二 問答歌 3118
詞書は前の歌に続き「問答の歌」
門も戸も閉めていたけれど、盗人の掘った穴から入って夢に見えたのだろうと、前歌の問いに戯れて答える女の歌である。前歌と同じ初句で応じ、ユーモアに富んだ問答となっている。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「門立てて」は、門を閉ざして、の意で、前歌と同じ初句で答えている。
二句「戸は閉したれど」は、戸は閉めていたけれど、の意である。
三句「盗人の」は、盗人が、の意である。
四句「穿れる穴より」は、掘った穴から、の意である。
結句「入りて見えけむ」は、入って夢に見えたのだろう、の意で、前歌の不思議がる問いに、盗人の穴から入ったのだと戯れて答えている。
ぬすびと:盗人
ほる:穴を掘る
- 作者
-
作者未詳
- 出典
-
万葉集
- 前の歌
-
門立てて戸も閉したるをいづくゆか 妹が入り来て夢に見えつる
- 次の歌
-
明日よりは恋ひつつ行かむ今夜だに 早く宵より紐解け我妹