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雨も降り夜も更けにけり今さらに
君去なめやも紐解き設けな

歌の意味
雨も降り、夜も更けてしまった。今さらあなたは帰ったりはなさらないだろう。紐を解いて待っていよう。
鑑賞
巻第十二 問答歌 3124

詞書は前の歌に続き「問答の歌」
 雨の中を濡れながらやって来た男を迎え、夜も更けたので今さら帰るまいと、紐を解いて共寝の支度をしようと歌う女の歌である。前歌と一組の問答をなし、温かく男を迎える心が表れている。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「雨も降り」は、雨も降り、の意である。
 二句「夜も更けにけり」は、夜も更けてしまった、の意で、ここで二句切れとなる。
 三句「今さらに」は、今さら、の意である。
 四句「君去なめやも」は、あなたは帰ったりはなさるまい、の意の反語である。
 結句「紐解き設けな」は、紐を解いて待っていよう、の意で、雨の中をやって来た男を迎える女の心を示している。

まく:前もって用意する
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
ただひとり寝れど寝かねて白栲の 袖を笠に着濡れつつぞ来し
次の歌
ひさかたの雨の降る日を我が門に 蓑笠着ずて来る人や誰れ