古典和歌stream

ひさかたの雨の降る日を我が門に
蓑笠着ずて来る人や誰れ

歌の意味
雨の降る日に、私の家の門に、蓑も笠も着けずにやって来る人は誰だろう。
鑑賞
巻第十二 問答歌 3125

詞書は前の歌に続き「問答の歌」
 雨の日に蓑も笠も着けずに門までやって来た男を、わざと知らぬふりをして誰かと問いかける女の歌である。次歌の男の答えと一組の問答をなし、からかうような親しみが込められている。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「ひさかたの」は、「雨」にかかる枕詞である。
 二句「雨の降る日を」は、雨の降る日に、の意である。
 三句「我が門に」は、私の家の門に、の意である。
 四句「蓑笠着ずて」は、蓑も笠も着けずに、の意である。
 結句「来る人や誰れ」は、やって来る人は誰か、の意で、仮名の行では「けるひとやたれ」と読む。本巻の第三千百一首の結句「逢へる子や誰れ」とも響き合う。

みの:茅などで編んだ雨具
かさ:雨や日を防ぐためにかぶるもの
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
雨も降り夜も更けにけり今さらに 君去なめやも紐解き設けな
次の歌
巻向の穴師の山に雲居つつ 雨は降れども濡れつつぞ来し