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遠くあれば姿は見えず常のごと
妹が笑まひは面影にして

歌の意味
遠く離れているので姿は見えない。いつものように、妻の笑顔は面影として目に浮かんで。
鑑賞
巻第十二 羇旅発思 3137

詞書は前の歌に続き「羇旅に思ひを発す」
 遠く離れているので姿は見えないが、いつものように妻の笑顔が面影として目に浮かぶと歌う。本巻の第三千百三十五首の「近くあれば」に対して「遠くあれば」と歌い起こし、距離の対比が見られる。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「遠くあれば」は、遠く離れているので、の意で、本巻の第三千百三十五首の「近くあれば」と対をなす。
 二句「姿は見えず」は、姿は見えない、の意で、ここで二句切れとなる。
 三句「常のごと」は、いつものように、の意である。
 四句「妹が笑まひは」は、妻の笑顔は、の意で、本巻の第二千九百首にも「笑まひ」の語が見える。
 結句「面影にして」は、面影として目に浮かんで、の意で、言いさしの形で余韻を残している。

ゑまひ:ほほえみ、笑顔
おもかげ:目の前に浮かぶ姿
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
旅にありて恋ふれば苦しいつしかも 都に行きて君が目を見む
次の歌
年も経ず帰り来なむと朝影に 待つらむ妹し面影に見ゆ