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我妹子し我を偲ふらし草枕
旅のまろ寝に下紐解けぬ

歌の意味
いとしい妻が私を偲んでいるらしい。旅のごろ寝で、下紐がひとりでに解けた。
鑑賞
巻第十二 羇旅発思 3145

詞書は前の歌に続き「羇旅に思ひを発す」
 旅のごろ寝で下紐が自然に解けたのは、妻が自分を偲んでいるしるしだろうと歌う。下紐が自然に解けるのは相手に思われているしるしとする俗信によっている。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「我妹子し」は、いとしい妻が、の意で、「し」は強意である。
 二句「我を偲ふらし」は、私を偲んでいるらしい、の意で、ここで二句切れとなる。
 三句「草枕」は、「旅」にかかる枕詞である。
 四句「旅のまろ寝に」は、旅先での着のみ着のままのごろ寝に、の意である。
 結句「下紐解けぬ」は、下紐が解けた、の意である。本巻の第二千八百五十一首も下紐にまつわる俗信を踏まえている。

まろね:着物を着たまま寝ること、ごろ寝
したびも:下着の紐
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
旅の夜の久しくなればさ丹つらふ 紐解き放けず恋ふるこのころ
次の歌
草枕旅の衣の紐解けて 思ほゆるかもこの年ころは