古典和歌stream

草枕旅の衣の紐解けて
思ほゆるかもこの年ころは

歌の意味
旅の衣の紐が解けて、妻のことがしきりに思われることだ。この数年来は。
鑑賞
巻第十二 羇旅発思 3146

詞書は前の歌に続き「羇旅に思ひを発す」
 旅の衣の紐が解けて、妻のことがしきりに思われると歌う。前歌に続いて紐が解けることを妻に思われているしるしとし、長年にわたる旅の思いを述べている。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「草枕」は、「旅」にかかる枕詞である。
 二句「旅の衣の」は、旅の衣の、の意である。
 三句「紐解けて」は、紐が解けて、の意で、前歌に続き、紐が解けることを相手に思われているしるしとしている。
 四句「思ほゆるかも」は、自然と思われることだ、の意である。
 結句「この年ころは」は、この数年来は、の意で、本巻の第二千八百六十首の結句「この年ころを」と通じ、長い旅であることを示している。

としころ:数年来、長年
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
我妹子し我を偲ふらし草枕 旅のまろ寝に下紐解けぬ
次の歌
草枕旅の紐解く家の妹し 我を待ちかねて嘆かふらしも