古典和歌stream

草枕旅の紐解く家の妹し
我を待ちかねて嘆かふらしも

歌の意味
旅の衣の紐が解ける。家にいる妻が、私を待ちかねて嘆き続けているらしい。
鑑賞
巻第十二 羇旅発思 3147

詞書は前の歌に続き「羇旅に思ひを発す」
 旅の衣の紐が解けるのは、家の妻が自分を待ちかねて嘆いているからだろうと歌う。紐を詠む一連の四首目で、家で待つ妻を思いやる心を述べている。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「草枕」は、「旅」にかかる枕詞である。
 二句「旅の紐解く」は、旅の衣の紐が解ける、の意で、ここで二句切れとなる。
 三句「家の妹し」は、家にいる妻が、の意で、「し」は強意である。
 四句「我を待ちかねて」は、私を待ちかねて、の意で、六音の字余りである。
 結句「嘆かふらしも」は、嘆き続けているらしい、の意で、「ふ」は継続を表す。

なげかふ:嘆き続ける
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
草枕旅の衣の紐解けて 思ほゆるかもこの年ころは
次の歌
玉釧まき寝し妹を月も経ず 置きてや越えむこの山の崎