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いで我が駒早く行きこそ真土山
待つらむ妹を行きて早見む

歌の意味
さあ、我が馬よ、早く行っておくれ。真土山の名のように待っているであろう妻を、行って早く見たい。
鑑賞
巻第十二 羇旅発思 3154

詞書は前の歌に続き「羇旅に思ひを発す」
 帰路を急ぐ男が、真土山の名のように待っているであろう妻のもとへ早く行けと馬を励ます歌である。真土山の「まつ」と「待つ」の響き合いに、妻への思いが込められている。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「いで我が駒」は、さあ、我が馬よ、の意で、六音の字余りである。
 二句「早く行きこそ」は、早く行っておくれ、の意で、「こそ」は願望を表す。ここで二句切れとなる。
 三句「真土山」は、大和と紀伊の境にある山で、同音の「待つ」を導いている。本巻の第三千九首にもこの山の名が見える。
 四句「待つらむ妹を」は、待っているであろう妻を、の意である。
 結句「行きて早見む」は、行って早く逢いたい、の意で、帰路を急ぐ心を表している。

こま:馬
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
み雪降る越の大山行き過ぎて いづれの日にか我が里を見む
次の歌
悪木山木末ことごと明日よりは 靡きてありこそ妹があたり見む