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旅にありてものをぞ思ふ白波の
辺にも沖にも寄るとはなしに

歌の意味
旅にあって物思いをしている。白波が岸にも沖にも寄りつかないように、心の寄る所もないままに。
鑑賞
巻第十二 羇旅発思 3158

詞書は前の歌に続き「羇旅に思ひを発す」
 旅にあって物思いをしながら、寄る所のない白波のように心の定まらない思いを歌う。岸にも沖にも寄らない白波の姿に、行き場のない心が託されている。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「旅にありて」は、旅にあって、の意で、本巻の第三千百三十六首と同じ初句である。
 二句「ものをぞ思ふ」は、物思いをしている、の意で、「ぞ」は連体形「思ふ」で結ぶ。ここで二句切れとなる。
 三句「白波の」は、白波のように、の意である。
 四句「辺にも沖にも」は、岸にも沖にも、の意である。
 結句「寄るとはなしに」は、寄りつくこともなく、の意で、心の定まらない旅の物思いを、寄る所のない白波にたとえている。

しらなみ:白く砕ける波
へ:岸辺、ほとり
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
我妹子にまたも近江の安の川 安寐も寝ずに恋ひわたるかも
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港廻に満ち来る潮のいや増しに 恋はまされど忘らえぬかも